―この数字に言葉が乗らないと、銀行面談は前に進まない―
銀行面談で詰まる理由は「準備不足」ではない
銀行面談を終えたあと、
多くの経営者がこんな感想を持ちます。
「数字は一通り用意していたつもりだった」
「聞かれると思っていなかったところを突かれた」
「うまく説明できなかった」
ただ、現場で見ていると、
これは準備不足ではありません。
“整理の仕方”が違うだけです。
多くの人は、
・決算書
・創業計画書
・資金繰り表
といった「資料」を用意します。
しかし銀行が見ているのは、
資料そのものではなく、
その数字を、どう理解しているか
です。
つまり、
「数字を持っているか」ではなく
「数字を言葉にできるか」。
この記事では、
銀行面談の前に
必ず整理しておくべき数字を、
具体例とともに整理します。
銀行は「正確さ」より「把握度」を見ている
まず前提として、
銀行は数字の細かい誤差を
そこまで気にしていません。
創業期や中小企業では、
予測がズレるのは当然です。
銀行が本当に見ているのは、
・どの数字が重要かを分かっているか
・どこがブレやすいかを理解しているか
・ズレた時の影響を把握しているか
です。
だからこそ、
ある数字だけは必ず聞かれます。
以下、その代表例です。
① 自己資金の金額と内訳
なぜ最初に聞かれるのか
自己資金は、
面談でほぼ確実に話題になります。
理由は単純で、
唯一「過去の事実」だからです。
具体例①
金額は問題ないが、説明できなかったケース
・自己資金:300万円
・数字だけ見れば十分
しかし、
「いつから、どうやって貯めましたか?」
この質問に答えられなかった。
結果、
「本当に自分のお金なのか」
「継続性はあるのか」
という疑念が生まれました。
整理すべきポイント
・いつから貯め始めたか
・毎月どれくらい残していたか
・今後も同じ生活を続けるか
金額より、
積み上げ方です。
② 売上の立ち上がり(月別)
なぜ年商では足りないのか
多くの人は、
年商だけを整理します。
しかし銀行が聞くのは、
「最初の1か月、どうなりますか?」
具体例②
初月売上が高すぎたケース
・初月売上:250万円
・理由:「立地が良いから」
ここで面談が止まりました。
銀行は、
・認知はどう作るのか
・リピートはいつからか
を見ています。
整理すべきポイント
・初月
・3か月目
・半年後
時間軸で説明できるか。
③ 一番資金が減る月(最大赤字月)
なぜここが一番重要なのか
銀行が一番恐れるのは、
途中で資金が尽きることです。
具体例③
開業できたが、3か月目で苦しくなったケース
・開業時点では資金に余裕
・売上は想定どおり
しかし、
・家賃
・人件費
・仕入れ
が先行し、
3か月目が最大赤字。
この想定がなかった。
整理すべきポイント
・最大赤字はいくらか
・その月を越える資金はあるか
この質問に即答できるか。
④ 毎月の固定費
なぜ変動費より固定費か
売上は上下します。
固定費は止まりません。
具体例④
固定費を把握していなかったケース
・家賃は把握
・人件費は「だいたい」
この「だいたい」が
評価を下げます。
整理すべきポイント
・家賃
・人件費
・リース
・通信費
売上ゼロでも出る金額。
⑤ 毎月の返済額(事業+個人)
なぜ借入額より返済額か
銀行が見るのは、
「返せるか」ではなく
「続くか」です。
具体例⑤
住宅ローンを軽視していたケース
・事業返済:月10万円
・住宅ローン:月15万円
合計25万円。
本人は
「売上があるから大丈夫」。
銀行は
「余裕がない」と判断。
整理すべきポイント
・事業の返済
・個人の返済
・生活費
合算して説明できるか。
⑥ 売上が下振れた場合の想定
なぜ楽観的な計画は嫌われるのか
銀行は、
「失敗しない計画」を
求めていません。
「失敗した時の想定」を
求めています。
具体例⑥
下振れ想定がなかったケース
「売上は計画どおり行くと思います」
この一言で、
評価は一段下がります。
整理すべきポイント
・売上80%ならどうなるか
・どこを削るか
・何を優先するか
⑦ 自分(経営者)の生活費
なぜ事業と関係あるのか
事業が苦しい時、
最後に圧迫するのは生活費です。
具体例⑦
役員報酬を高く設定しすぎたケース
・生活水準が高い
・下げられない
結果、
事業が耐えられない。
整理すべきポイント
・最低限いくら必要か
・下げられるか
⑧ 数字がズレた時の優先順位
最後に必ず見られる視点
銀行は、
こう考えています。
「この人は、何を守る人か」
具体例⑧
優先順位が曖昧だったケース
・売上
・従業員
・返済
全部大事、では足りません。
整理すべきポイント
・最初に守るもの
・削る順番
まとめ
面談前に整理すべきは「数字の意味」
銀行面談で重要なのは、
数字を覚えることではありません。
数字を理解しているかです。
今回整理した数字は、
1️⃣ 自己資金
2️⃣ 売上の立ち上がり
3️⃣ 最大赤字月
4️⃣ 固定費
5️⃣ 毎月の返済
6️⃣ 下振れ想定
7️⃣ 生活費
8️⃣ 優先順位
これらは、
ほぼ確実に聞かれます。
そして、
正解はありません。
あるのは、
自分の言葉で説明できるか
それだけです。
面談前に、
この数字を一度
声に出して説明してみてください。
それができれば、
銀行面談は
“怖い場”ではなくなります。
