―「医師だから通る」は、もう前提にならない―
医師の融資は「通りやすい」が「条件は数字で決まる」
クリニック開院を検討している医師の方から、
銀行面談前によく聞く言葉があります。
「医師だから、融資は大丈夫ですよね?」
「そこまで細かく見られないですよね?」
確かに、
医師は融資が通りやすい職業です。
これは事実です。
ただし、近年の銀行面談では、
“通るかどうか”よりも
“どんな条件で、どこまで信頼できるか”
が重視されています。
・借入額
・返済期間
・金利
・追加融資の余地
これらはすべて、
面談前に整理している数字で
ほぼ決まります。
銀行面談は、
知識を試す場でも、
経営者らしく振る舞う場でもありません。
数字を、自分の言葉で説明できるか
それだけが、静かに見られています。
この記事では、
クリニック開院前の銀行面談で
必ず整理しておくべき数字を、
具体例とともに整理します。
銀行は「医師かどうか」より「数字との距離感」を見ている
銀行は、
医師という職業の安定性を
十分に理解しています。
しかし同時に、
こうも考えています。
「医師は、
経営や数字に無頓着な人も多い」
だからこそ、
銀行面談では、
・数字を把握しているか
・聞かれた数字に即答できるか
・分からない数字を放置していないか
を非常に重視します。
完璧な数字は不要です。
ただし、
**自分のクリニックの数字を
“他人事のように話す医師”**は、
確実に評価を落とします。
① 自己資金の金額と形成プロセス
なぜ医師でも必ず聞かれるのか
自己資金は、
医師であっても
必ず確認されます。
理由は明確です。
生活水準と、今後の役員報酬を推測するためです。
具体例①
勤務医歴10年なのに、自己資金が少なかったケース
・年収:1,200万円
・勤務年数:10年
・自己資金:200万円
銀行の疑問は、
「なぜ貯まっていないのか」。
派手な生活を想定されると、
将来の役員報酬も
高く取る前提で見られます。
整理すべきポイント
・いつから貯めたか
・月いくら残してきたか
・今後も同じ生活水準か
金額より、
生活との整合性です。
② 開院後の月別売上推移
なぜ年商では足りないのか
銀行が見ているのは、
最初の6か月です。
具体例②
初月から売上が高すぎたケース
・初月売上:800万円
・理由:「医師会の紹介がある」
この説明だけでは、
評価は止まります。
整理すべきポイント
・初月
・3か月目
・6か月目
患者数・単価・稼働率を
分けて説明できるか。
③ 最大赤字月とその金額
銀行が最も恐れる数字
銀行が一番嫌うのは、
途中で資金が尽きることです。
具体例③
3か月目が一番苦しいと答えられたケース
・売上は伸びていく
・人件費と家賃が先行
この説明ができる医師は、
評価が安定します。
整理すべきポイント
・何月目が一番厳しいか
・いくら赤字になるか
・そこを越える資金はあるか
④ 毎月の固定費
医療は固定費ビジネス
医療は、
売上が下がっても
固定費は止まりません。
具体例④
人件費を「だいたい」で答えたケース
・看護師
・受付
・事務
これを即答できないと、
経営理解が浅いと判断されます。
整理すべきポイント
・家賃
・人件費
・リース
・システム費
売上ゼロでも出る金額。
⑤ 借入の毎月返済額
なぜ金額より返済額か
銀行は、
借入額より
毎月いくら出ていくかを見ます。
具体例⑤
返済額を把握していなかったケース
「総額は分かりますが、
月額は意識していませんでした」
この一言で、
評価は下がります。
整理すべきポイント
・元金
・利息
・返済開始月
⑥ 住宅ローンを含めた個人の返済
医師特有の重要ポイント
銀行は、
個人と法人を分けて見ていません。
具体例⑥
高額住宅ローンが影響したケース
・住宅ローン:月25万円
・役員報酬:低めに設定
結果、
生活が回らないと判断。
整理すべきポイント
・住宅ローン
・車
・教育費
事業返済と合算で説明。
⑦ 売上が下振れた場合の想定
楽観的すぎる医師は警戒される
具体例⑦
「医師だから大丈夫」と答えたケース
この瞬間、
銀行は慎重になります。
整理すべきポイント
・患者数が80%なら
・どこを削るか
・いつ手を打つか
⑧ 役員報酬の初期設定
医師はここを見られている
具体例⑧
役員報酬を高く設定しすぎたケース
「生活水準を落とせない」
=リスクが高い。
整理すべきポイント
・最低限の生活費
・将来の増額時期
⑨ 数字がズレた時の優先順位
最後に必ず見られる視点
具体例⑨
全部大事と答えたケース
優先順位がない=
判断できない経営者。
整理すべきポイント
・何を最優先するか
・削る順番
まとめ
医師の銀行面談は「数字で信頼を積む場」
クリニック開院の融資は、
通るかどうかより、
どこまで信用されるかです。
今回整理した数字は、
1️⃣ 自己資金
2️⃣ 月別売上
3️⃣ 最大赤字月
4️⃣ 固定費
5️⃣ 毎月返済
6️⃣ 個人返済
7️⃣ 下振れ想定
8️⃣ 役員報酬
9️⃣ 優先順位
これらは、
ほぼ必ず聞かれます。
完璧な数字は不要です。
ただし、
自分の言葉で説明できること
これが、医師の銀行面談では
何より重要です。
面談前に、
一度この数字を
声に出して説明してみてください。
それができれば、
銀行面談は
「評価される場」に変わります。
